【雇用保険受給資格者証】特定受給資格者と特定理由離職者に該当する条件とは?
雇用保険受給資格者証には離職理由欄に割り振られる番号があります。
☆その番号が何を意味するのか?
☆特定が付く番号は何番なのか?
☆また、どのような項目に該当すれば、特定受給資格者や特定理由離職者に当てはまるのか?
そして、所定給付日数などの待遇差は通常とどう違うのか?
以上のことなどを、お伝えできればと思います。
特定受給資格者とは
離職理由が倒産・解雇、その他厚生労働省令で定める事由により、再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた方に該当する受給資格者をいいます。
では、どんな方が該当するのでしょうか?
特定受給資格を得られる方の項目をまとめてみました!
大きく分けて、2種類あります
【特定受給資格者に該当する項目】
①倒産等により離職した方
- 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続きの申し立て、または手形取引の停止等)に伴い離職した方
- 事業所において大量雇用変動の場合(1か月以上に30人以上の離職を予定)の届け出がだされたため離職した方、また、当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える方が離職したため離職した方
- 事業所の廃止(事業活動停止後、再開の見込みのない場合も含める)に伴い離職した方
- 事業所の移転により、通勤することが困難になったため離職した方
②解雇により離職した方
- 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く)により離職した方
- 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した方
- 賃金(退職手当を除く)の額の3分の1を超える額が支払期日までにしはらわれなかったこと等により離職した方
- 賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べ85%未満に低下した(低下することになった)ため離職した方(当該労働者が低下の事実について予見できなかった場合に限る)
- 離職の日に属する月の前6か月間のうち3月連続した45時間、1月で100時間または2~6月平均で月80時間を超える時間外労働及び休日労働がおこなわれたため、または事業主が危険若しくは健康被害の生じる恐れがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康被害を防止すために必要な措置を講じなかったため離職した者
- 事業主が法令に違反し、妊娠中、出産後の労働者、又は子の養育、家族の介護を行う労働者を就業させ、それらの者の雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限したこと、又は妊娠したこと、出産したこと若しくはそれらの制度の利用の申出をし、若しくは利用したこと等を理由として労働者に不利益な取り扱いをしたため離職した方
- 事業主が労働者の職種転換等に際して当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていなかったために離職した方
- 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した方(雇用時に契約更新の上限回数が決められているなど、あらかじめ雇用の終期が判明した場合を除く)
- 期間の定めのある労働契約の締結に際し、当該労働契約が更新されることが明示された場合において、当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した方
- 事業主から直接または間接に退職するよう推奨を受けたことにより離職した方(従来から恒常的に設けられている「早期退職者優遇制度」等に応募して離職した場合は、該当しません)
- 上司、同僚等からの故意の排斤、著しい冷遇若しくは嫌がらせをうけたことにより離職した方
- 事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3か月以上となったことにより離職した方
- 事業所の業務が法令に違反したため離職した方
読むと複雑かもしれませんが、当たり前の事ばかりです。
②ー11番なんかは、典型的で分かりやすいかと思います。
②ー6番に至っては、特定受給資格を受けるのは当然の事です。
※一度離職する前に自分の「離職理由」について良く考えてみてください。
所定給付日数なんかにも影響してきますので、離職する理由がこれらの内どれかに該当するならば思い切って「事前に検討し相談」してみましょう!
特定給付日数に関しては後述してます
特定理由離職者とは
特定受給資格者以外の方であって、期間の定めのある労働契約が更新されなかったこと、その他やむを得ない理由で離職した方の受給資格者をいいます。
※上記の②解雇により離職した方の8・9に該当しない場合で、期間の定めのある労働契約の期間が満了して、当該労働契約の更新がないことにより離職した方(その方が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなった場合に限る)
(労働契約において、契約更新条件が「契約を更新する場合がある」とされている場合など、契約の更新の明示はあるが契約更新の確約まではない場合がこの基準に該当します)
では以上を踏まえて、どんな方が該当するのでしょうか?
【特定受給離職者に該当する項目】
①正当な理由のある自己都合で離職した方
- 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減衰、聴力の減衰、触覚の減衰により離職した方
- 妊娠、出産、育児等により離職し雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた方
- 父、もしくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父もしくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合、または常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家族の事情が急変したことにより離職した方
- 配偶者または扶養すべき家族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した方
受給期間延長についてはこちらで説明しています!
通勤不可能、困難により離職した方
- 結婚に伴う住所の変更
- 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用または親族等への保育の依頼
- 事業所の通勤困難な地への移転
- 自己の意思に反して住所または居所の移転を余儀なくされた場合
- 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止または運行時間の変更等
- 事業主の命による転勤または出向に伴う別居の同意
- 配偶者の事業主の命による転勤もしくは出向または配偶者の再就職に伴う別居の回避
※その他、上記②解雇により辞職した方の11に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した方等。
雇用保険受給資格者証の離職理由欄の「番号」について
ここでは、特定受給資格者と特定理由離職者に該当する番号と、それに伴う所定給付日数についてご説明します。
雇用保険受給資格者証の離職理由欄に記載される番号です。
特定受給資格者に該当する番号
11・12・21・22・31・32
特定理由離職者に該当する番号
23・33
この番号のうちいずれかが割り振られている場合は「特定」に当てはまることになります。
この番号を元に、以下の表などを参考に自分はどれに該当するのか見てみてください。
番号で決まっている給付日数と国民健康保険の軽減について
離職理由番号 | 給付制限 | 特定受給資格者 | 特定理由離職者 | 所定給付日数(※1) (下記の表を参照) | 国民健康保険料(税)の軽減(※2) |
11,12 | 無 | ○ | × | ②表 | ○ |
21,22 | 無 | ○ | × | ②表 | ○ |
23 | 無 | × | ○ | ②表 | ○ |
24,25 | 無 | × | × | ①表 | × |
31,32 | 無 | ○ | × | ②表 | ○ |
33 | 無 | × | ○ | ①表 | ○ |
40,50 | 3か月 | × | × | ①表 | × |
45,55 | 1か月 | × | × | ①表 | × |
所定給付日数について
上記の所定給付日数(※1)の振り分け内容を表で示しています。
①契約期間満了、定年退職、自己の意思で離職した方(②および③以外のすべての離職者)
被保険者であった期間⇨ 離職時の年齢⇩ | 10年未満 | 10年以上 20年未満 | 20年以上 |
全年齢 | 90日 | 120日 | 150日 |
②倒産、解雇、一定の要件を満たす雇い止めで離職した方(③を除く)
被保険者であった期間⇨ 離職時の年齢 | 1年未満 | 1年以上 5年未満 | 5年以上 10年未満 | 10年以上 20年未満 | 20年未満 |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ー |
30歳以上35歳未満 | ” | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳以上45歳未満 | ” | 150日 | ” | 240日 | 270日 |
45歳以上60歳未満 | ” | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳以上65歳未満 | ” | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
③障害者等で就職が困難な方(本人からの申し込みが必要になります)
被保険者であった期間⇨ 離職時の年齢⇩ | 1年未満※ | 1年以上 |
45歳未満 | 150日 | 300日 |
45歳以上65歳未満 | ” | 360日 |
「1年未満※」欄は、②に該当する理由またはその他やむを得ない理由により離職された方のみに適用されます。
まとめ
以上が、雇用保険受給資格者証の中の「特定受給資格者」と「特定理由離職者」の説明になります。
私事で恐縮ですが、特定指定される状態での退職も経験致しましたが、その当時は自分のプライド?みたいなものがあって、普通に自己退職したことにしました。(泣き寝入り状態で焦って次の仕事探ししてました)
ですが、現在の社会では当時よりも、こういった問題が受け入れられる事も多くなってきてますし、必要であればどんどん利用したほうが良いと思います。
むしろ被害を被ったのなら、ちゃんと真実を伝え次の再就職でプラスになるよう有意義にこの制度を利用したほうが賢明です。
簡単な例ですが、社内の嫌がらせもよくある問題です。
その他が原因でも、退職寸前まで追い込まれているようでしたら、是非とも離職する前に自分の退職理由を明確にし、少しでも自分の有利になるように事を運んでくださいね。
先述した内容から、少しでもあなたのお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。またなん(=゚ω゚)ノ