【把握しておきたい労働条件まとめ】ほんとに今の働き方で大丈夫?

知っているようで知らない労働条件!

私自身も今まで疑問に思うことも多々あったので、今回調べてみました。

働く方全員に共通する基準ですので、何かお役に立ててもらえれば幸いです。

①労働者とは

パート、アルバイト、正社員、契約社員、派遣社員などの「事業又は事務所に使用され、労働の対象として賃金を支払われる人」は労働基準法上の「労働者」となります。

②労働基準通知書の有無

事業主が労働者を雇い入れる時は、「労働条件通知書」を交付して労働条件を明示しなければなりません。

それはなぜか?

求人票や求人広告等の給料などの条件には幅がある場合があります。

例えば求人票などに、月給200000円~300000円と記載されていた場合には10万円の幅があるということになりますし、休日は求人票などでは土日休日みとなっていても、実際に働くと毎週土曜日は出勤ということになるなどの幅があります。

給与や休日以外でも、後で「約束が違う」などのトラブルを避けるために労働基準通知書の明示は必要なわけです。

企業と本人の双方が気持ちよく労働契約を交わす為にも、必ず労働基準通知書はもらうようにしましょう。

労働基準通知書

③就業規則を確認しよう

法令、就業規則、労使協定には、提示・備え付け・書面交付などの方法で、労働者に周知されなければなりません。

会社の労働条件のことで疑問がでた場合は、これらの書類の確認をしましょう。

労働者10人以上の事業所では就業規則の作成義務があります。

必ず記載すべき事項

  1. 始業・就業の時刻、休憩時間、休日、休暇
  2. 賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締め切り、支払いの時期、供給に関する事項
  3. 退職に関する事項(解雇の理由を含む)

定めをする場合に記載が必要な事項

  1. 退職手当の適用労働者の範囲、決定、計算及び支払いの方法を支払い時期
  2. 臨時の賃金等、最低賃金額の定めに関する事項
  3. 食費・作業用品等の労働者負担に関する事項
  4. 安全・衛星に関する事項
  5. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  6. 表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項
  7. 当該事業所の全労者に適用される定めに関する知識

※就業規則を見せてもらえない場合などは、労働基準監督署に事業所の指導を求める事ができます。

④損害賠償の決まり

会社が最初から罰金や損害賠償額を決めた契約は禁止されています。

例えば

  • 規則を守らなければ1回〇万円の罰金
  • 早期退職したら〇万円の罰金
  • 会社の物で事故を起こしたら1回〇万円の損害賠償、など

以下の場合は損害賠償を請求されることがある

  • 労働者に責任がある
  • 現実に生じた損害の請求

⑤気になるお給料の支払い

給料は直接労働者に支払わなければなりません。

支払い方は?

通貨で全額を毎月1回以上一定期日にです。

今では当たり前の「口座振り込み」ですが、労働者の合意があれば認められています。

※全額払いの例外に法令に定める税金・社会保険料の控除があります。

⑥残業手当のつきかた

※2010年から、1か月60時間超えの時間外労働の割り増し率が引き上げとなりました。
(ただし、中小事業主は2023年3月まで、適用が猶予されています)

時間外労働の割増率

時間外労働の割増率

  • 時間外労働→25%(月60時間超→50%)――※1日8時間・1週40時間。(10人未満の商業、映画演劇業、保健衛生業、接客娯楽業は週44時間)を超える労働が可能で、変形労働時間制の場合例外がある。
  • 深夜労働→25%――午後10時から午前5時までの労働
  • 休日労働→35%――週一日の法定休日の労働

※通勤手当、家族手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(これらは計算基礎の賃金に含まれません)

⑦労働時間の記録

法定労働時間の原則は1日8時間、1週間40時間。

(事業場規模10人未満の商業、映画演劇業、保健衛生業、接客娯楽業は週44時間まで可能)

労働時間制度は色々ありますが、記録の基本は始業・終業時間をしっかり記録しておくことが大切。

なぜか?

気になる残業代の計算ができないのは勿論ですが、それよりも万が一、過労で倒れてしまった時に労災請求の手続きも困難になります。

倒れてからでは遅いので、残業が月45時間を超える長時間労働をしている方は、まさかな事態も考慮し労働時間管理をしましょう。

いざという時のためにも、日頃の労働時間管理は大事なのです。

⑧休憩、休日の取得

休憩

  • 1日の労働時間を6時間超→労働時間の途中に45分
  • 1日の労働時間を8時間超→労働時間の途中に60分

休日

  • 原則→週1日
  • 例外→4週4日(起算日の定めが必要)

⑨産休の取得

産休の取得

  • 産前休業6週間→請求により休業 ※多胎妊娠は14週間
  • 産後休業8週間→就業禁止 ※産後6週間を経過した女性が請求し、医師の許可があれば就業可能です

☆妊産婦は請求により残業や深夜業を拒否できます。

⑩年休の取得

年休(年次有給休暇)とは、給料の減らない休みのことです。

雇い入れから6か月継続勤務かつ8割以上出勤で年次有給休暇の権利が発生します。

年休を取得する際は、労働者から事前に日を指定する必要があります。

事業主は、事業が正常に運営できない場合、日を変更することができます。

取得日数の確認

週所定労働日数所定労働日数継続勤務年数
年休日数

0.51.52.53.54.55.56.5以上
30時間以上週5日以上10111214161820
30時間未満週4日以上
年169日~216日
10121315
週3日以上
年121日~168日
1011
週2日以上
年73日~120日
週1日以上
年48日~72日
2

※2019年4月1日から、年10日以上の年休が付与されている方に対して、年5日以上の年休を取得させることが、事業主の義務となりました。

⑪健康診断は定期的

健康診断は、事業場の費用で、労働者に雇い入れ時、有害業務への配置替時とその後の定期的な実施が義務付けられています。

※短時間労働者でも、一定の要件(※1)を満たし、かつ1週間の所定労働時間が同種の業務に従事する通常の労働者の4分の3以上である者は含まれます。

健康診断の義務

  • 一般健診→雇い入れ時
     ・その後 (一般)――1年に1回
     ・その後 特定業務(※2)――6か月に1回
  • 特殊健診(※3)→配置替え時
     ・その後6か月に1回

(※1)一定の要件とは、以下の①と②に該当する人です。


 ①期間の定めのない労働契約により雇用されるもの。
 ②期間の定めのある労働契約に雇用されるものであって、契約期間が1年以上(特定業務に従事する場合は6か月以上)である者、契約更新により、1年以上雇用されることが予定されている者。

(※2)特定業務は,暑熱、寒冷、振動、重量物取り扱い、騒音、深夜業、病原体汚染などの業務をいいます。

(※3)特殊健診には、有機溶剤健診。特定化学物質健診、鉛健診、電離放射健診、石綿健診などがあります。

⑫労働保険の確認

種類給付事由本人負担パートへの適用
労災保険仕事中・通勤途上の災害による負傷等名称・雇用形態不問
雇用保険失業・雇用継続困難週所定労働時間20時間以上&31日以上雇用見込み

正社員・パート・アルバイト問わず、仕事中に怪我をして治療のために休む必要がある場合、治療費と休業補償の支払いは、労働基準法に定められた事業主の業務です。

事業主に代わって保証を行うのが労災保険です。

通勤途中の交通事故等による怪我も、通勤災害として労災保険の支給対象になります。

※請求用紙は労働基準監督署にあります。

注意)労災の治療が決まった場合は、健康保険は使わないでください。

⑬解雇・退職の手続き

解雇

会社から一方的に解約――(合理的理由必要)

30日以上前の予告又は解雇予告手当の支払いの義務

退職

合意や労働者側からの解約

合意以外は、就業規則民法で定められた日までに、退職願い又は退職届けの提出が義務
※これをしないと労働者が訴えられることも…

解雇制限

次の期間は解雇できません。

  • 業務上での労災休業期間とその後30日間
  • 産前産後の休業期間とその後30日間

⑭労働契約法等の判断

~解雇の効力~

①期間の定めのない労働契約の場合

客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は、権利を濫用したものとして、無効になります。(労働契約法第 16条)

有期労働契約(期間の定めのある労働契約)

有期労働契約においては、やむをえない事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまでのおいて、解雇することはできません。(労働契約法第 17条)

労働契約に関する基本的なルールが平成20年3月1日から施行されています。

労働契約法に罰則はありませんが、解雇等に関して民法の権利濫用法理に当てはめた場合の判断基準など、市場法の効果を明確にするものです。

また労働契約法は平成24年度に一部改正され、平成25年4月1日以降に開始する有期労働契約が繰り返し更新されて通算で5年を超えた時は、労働者の申し込みにより無期労働契約に転換できるルール(労働契約法第 18条)、有期契約労働者と無期労働契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するルール(労働契約法 20条)等の新たな規定が設けられています。

罰則はないけど、労働契約期間の有る無いにかかわらず、解雇の権利濫用を無くすため一定のルールが定められています。

有期契約労働者は通算契約5年を超えて、望めば無期労働契約に転換できるルールがあるのは助かります。

有期と無期の労働者間の不合理な労働条件の相違の禁止も忘れないで覚えておきましょう。

⑮労働基準法違反の疑いがある場合は

労働基準監督署への相談、申告等をして一度話しをしてみましょう。

その他労使間のトラブル

退職奨励、賃下げ、雇い止め、配置転換、パワハラ、いじめなどの問題には

解決案

  • 総合労働相談コーナーの情報提供・相談。
  • 都道府県労働局長による助言・指導・紛争調整委員会によるあっせん

上記などの制度があります。

また、男女差別、セクハラ、育児、介護休業、パート労働に係る紛争については。

都道府県労働局長による助言・指導・紛争調整委員会による調停制度があります。

まとめ

以上は基本的なことですが、何かお役に立つことはありましたか?

これらの問題が起こっていても、知らなったが故にいらぬ苦労や遠回りを強いられることもあります。

簡単で分かっていても、「面倒くさい」「おおごとにする必要もない」って我慢することも多いと思います。

しかし、少しの実行力と知恵で事前に予防できたり、疑問や問題が発生した時に早期対応ができるなど、得が多いのは間違いないですよね。

基本だけでも知っておいて損はないのでは?そんなことを思いながら記事にさせて頂きました。

私も含め皆様にとっても、少しでも健全で快適な労働環境になれば幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。またなん(V)o¥o(V)

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