【書評:ビジネス本】無理ゲー社会

才能ある者にとってはユートピア、それ以外にとってはディストピア。

きらびやかな世界の中で、「社会的・経済的に成功し、評判と性愛を獲得する」という困難なゲーム(無理ゲー)
たった一人で攻略しなければならない。
これが、「自分らしく生きる」リベラルな社会のルールだ。(本書より)
誰もが知能と努力で成功できるようになったことで、社会は「(知能の高い)上級国民」と「(知能の低い)下級公民」に分断される。
ベストセラー作家が知能格差のタブーに踏み込み「理不尽なゲーム」の正体を解き明かす衝撃作。

挨拶

この本の「自分らしく生きる」とは、一体どうゆうことでしょう?
誰もが悩んでしまいそうなこのテーマ。

自分らしくの定義が曖昧では、そもそも「自分らしく」を理解することは難しいものです。

私はいままで幾度なく、自分を無くしては作っての繰り返しだったように思いますが、同じような経験をされている方はたくさんいると思います。

自分らしくなんてできない

  • どうあがいても覆せない壁、みたいなものが存在しているような感覚
  • やってもやっても不満な現状を変えられない現実
  • すでに生まれた時から運命は決まっている、なんて弱腰の妄想…etc


こんな漠然とした不安、不満、悩みを抱えている方は、私も含め昨今では非常に多いのではなでしょうか。
そして、どうすればいいのか迷った結果、だいたいは現実と折り合いを無理に付けて、その場に落ち着くんですよね。

本人が(私も)その現実を喜んで受け入れているなら何もいう事はありません。
どんな状況であれ自分たちが幸せならそれでいいのですから――

反対に「無理ゲー」に挑む方もたくさんいるわけで。
無理ゲーをクリアした先の、大きな報酬や名声に魅力を感じる訳ですね。

「挑む」——それは手に入れたい、勝ち取りたいという「欲」からくる衝動。

この書籍は――既得権益はないけど、自分の努力と知能で「社会に貢献して認められたい」「良い待遇が欲しい」「いい家庭を築きたい」「安定した生活を維持したい」「お金儲けしたい」このような「欲」があり、リベラル社会の中でも負けないぞ!という上昇志向のあるビジネスパーソンに一度読んでもらいたい本です。

挑むこと、それはゲーム感覚にも近い


無理ゲーに挑むなら

  • 自分の能力をあげる
  • プレイスキルを磨く
  • レベルキャップの解放
  • 有効な攻略法を見つける
  • 強い装備を手に入れる
  • 特殊スキルの取得
  • 回復、バフ、デバフ効果を適材適所で使用
  • アイテム、材料の調達…など


あくまで上記はゲームにおける、いわゆる「無理ゲー」を攻略する上では欠かせない代表的な項目ですが、進行が行き詰った際に見つめ直す需要なファクターになりえます。

何がいいたいかを言いますと、このリベラル社会というご時世でも「自分の能力を磨く」ということが重要なポイントととなってきます。

「自分の能力を磨く」ことは”ゲームと社会”どちらに当てはめても、この無理ゲーを「クリア」或いは「納得のいく結果」まで到達するには必須な行動条件になると思うのです、それとやはり周りの支援を得られるかどうかも、自分の様々な能力磨きに掛かってくることを考えれば、理論的には大差ないですよね。

身分制社会から自己責任社会へ変化している。

生まれ育ちも関係ないフェアな状態でスタートできる社会になりつつあります、年功序列の世の中よりも「能力主義」「社会貢献主義」「論理資本主義」「才能主義」これらのイムズが重宝されていくのは時間の問題ではないっでしょうか。

個人の努力で磨き上げる能力が一層認められていく能力社会。

哲学人と俗人は正反対に位置しますが、この書籍では社会での「富」「名声」「権力」「性愛」といった、人の「欲」をテーマにしていると思いますので「俗人」の人に向けて参考になる本だと思います。


是非参考に読んでみてください。

コムギさん

哲学な内容も含むけど、それも大事な要素だじょ!

著書のプロフィール

橘 玲(たちばな あきら)

1959年生まれ。国際金融小説『マネーロンダリング』『ダックスヘイブン』などのほか、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『幸福[資本]論』など、金融・人生設計に関する著作も多数。
『言ってはいけない 残酷すぎる真実』で2017新書大賞受賞。近著に『上級国民/下級国民』『女と男なぜわかりあえないのか?』など。最新刊は『スピリチュアルズ[わたし]の謎』。

書籍情報

無理ゲー社会

2021年 8月3日初版版第1刷発行
2021年 9月6日 第2刷発行

著者 橘 玲
発行人 鈴木崇司

発行所 株式会社 小学館

印刷・製本中央製版印刷株式会社

本の概要

【はじめに】「苦しまずに自殺する権利」を求める若者たち

【PART1】・「自分らしく生きる」という呪い
       1「君の名は」と特攻
       2「自分さがしという」新たな世界宗教

【PART2】・知能各社社会
       3メリトクライシ―のディストピア
       4遺伝ガチャで人生が決まるのか?

【PART3】・経済格差と性愛格差
       5絶望から陰謀が生まれるとき
       6「神」になった「非モテ」のテロリスト

【PART4】・ユートピアを探して
       7「資本主義は夢を実現するシステム」
       8「よりよい世界」をつくる方法

【エピローグ】・「評判各社社会」という無理ゲー

【あとがき】・才能ある者にとってはユートピア、それ以外にとってはディストピア

以上の構成——285ページ

書籍の評価——最大評価☆☆☆☆☆

読みやすさ  ☆☆☆☆
分かりやすさ ☆☆☆☆
ボリューム  ☆☆☆
内容     ☆☆☆☆
     

感想

自分らしく生きるということは決して自由ではない。
知能と努力で自らを高め上げて続けてこそ、その先に得られるものでしょうか。

社会に出れば、理不尽で卑劣なことってたくさんありますよね。
なんで、自分だけがこんな目に合うんだろう?って枕を濡らす夜なんかも時々…
なぜ、こんな環境に置かれているんだろう?などと考えてしまえばたちまち果てしないネガティブドリームが続く。

自分らしく生きていたら、周りから見放され遅れをとるんじゃないか?と恐怖すら湧きます。
それもそのはず、人間は本来繋がりをもって恐怖を軽減している訳ですから、自分らしくを捨てでも周囲に合わせ安心を得ようとするのは理にかなっています。

私はこれこそ哲学にも通じるところがあると思っていて、哲学人と俗人は相いれない。
自分以外の外側で満たされたいのなら、自分らしく生きることは出来ないと思っています。

ネットが普及してから、このコロナ過でその利用価値は更に加速していってます、人々といつでもどこでもたくさん繋がれる環境がもうここに健在している中で、この本では、繋がり過ぎて逆に繋がりを断ち切る社会の誕生、個の能力重視で社会が形成される危機と可能性を語っているように感じました。

自分らしく生きる力があればあるほど孤高になる。
終焉近代社会と言われる現代に立ち向かうには、やはり突出した能力を有する人間が大勢必要になってくることも容易に想像できる。

一人でもゲームに勝てれば結果オーライっていう観念が色濃く出ている。
周囲と仲良くしているようで利害を優先した付き合い方に変化している、でもそうしないとこの厳しい乱世を自分らしく生き抜いていけないのです。

なんでも可視化しすぎて不安と恐怖を必要以上に煽る。
社会の成長速度が速すぎて、取り残されてしまう危機感を感じる。
ある種の脅迫観念が勝てばなんでもありな状況をつくっているようにも感じます。

他人にかまっている暇なんてねぇ~ってなるのも一理ありますよね。

上級国民と下級国民。
して貧富の差はますます開く一方で、大勝しているテスラやアップルなんかはもはや天井知らずの大富豪です。
もやはお金儲けの手段ならいまやいくらでもある時代で、それさえあれば勝ちで幸せという答えになっていくんではないかと思ってしまうほど、個人競争が激しいですよね。
一人勝ちプレーヤーの存在が増えてきたこともあり拍車をかけて、貧富の差も縮まりません。

ひっくり返せない格差から、この書籍の「無理ゲー」というテーマが生まれたんではないでしょうか。
個人プレイになった人と機械がはびこるSF映画さながらの世界しかないのでしょうか?

そうした未来に対処する方法はあるんでしょうか?
自分はどう振る舞っていくべきか、考えされらた一冊でした。

私もこの手の問題には大いに悩まされますけど、この本は哲学的な話を見事私にもわかりやすい説明でされていて、もう一日で読んじゃいました。

まとめ

無理ゲーをたった一人で攻略しなければならない。

そのためには、何が必要で不要なのか、これからも人は考えていかなければなりません。

そもそも、一人で攻略できるほど、世の中甘くないですよね。

あくまで私見ですが

この書籍は一人で何もかもやれ、と言っているわけではないのです。
一人になっても立ち向かうぞ!という心と行動力、それに加えて知識の蓄積をして必要なら協力しなければいけないよ?ってことを伝えたいんだと思います。

どうせなら個々の発想や能力はいざという時に高い方がいいよね(^_-)-☆

「無理ゲー社会」参考になることばかりだと思いますので、是非一度読んでみてはいかがでしょうか!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。またなん('◇')ゞ

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